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教えて!イクメン先生 スウェーデンの育休制度とは 教えて!イクメン先生 スウェーデンの育休制度とは

インタビュー:
稲垣眸さん、橋本芽依さん、水澤芽生さん
ストックホルムにある高校で教鞭をとる2人のイクメン先生に、子育てに関するインタビューをしました。お2人は同僚でもあり、プライベートではパパ友でもあります。
スウェーデンで育休制度が発足されたのは、お2人がまだ幼かった1970年代初めのころ。当時の自分たちの父親の姿を思い出しながら、自らが親となり育休を取る立場となった今、国の制度についてどのように感じているか語っていただきました。
インタビューの様子
(左:Robert Kenndalさん 右:Lauri Kuruさん)

育休期間は子どもたちと多くの時間をともに過ごせる、彼らをよく知る良い機会

−まず年齢とお子さんの人数を教えていただけますか?
Lauri Kuruさん(以下L. K.): 
私は43歳で、2人の子供がいます。長男が10才、長女が4才です。
Robert Kenndalさん(以下R. K.): 
私も43歳で、3人の子供がいます。長男が9才、次男が7才、長女が5才です。
−何日間、育休を取りましたか?
L. K.:長男のときは6ヶ月、長女のときは約9ヶ月(夏季休業含む)、取得しました。
R. K.:私は6ヶ月ずつ取りました。
−育休を取得されていたときの一日のスケジュールを教えてください。または育休取得期間中、具体的にどんなことをされていましたか?
L. K.:とにかく寝ていました(笑)。長男の育休期間、私は先生になるための最終論文に取り組んでいたので、息子が寝ているときはその勉強をしていました。その他の時間は、公園に行ったり、プリスクールで他のお父さんお母さんや子どもたちと交流したり、家で遊んだりして絆を深めました。長女のときは、家族で2ヶ月間、タイに旅行に行きました。それ以外は息子の時と同じです。特に決まったスケージュールがあるわけではありません。育休期間は、子どもたちと多くの時間をともに過ごせるので、彼らをよく知る良い機会だと思います。そういえば、私たちは育休をとっていた時期が同じだったから、よく会っていたよね!
R. K.:そうそう。育休期間、私も彼と同じようなことをしていました、タイ旅行以外は(笑)。
もちろん、たくさん家事もしていました。次男と長女のときは、長男をプリスクールに預けて、家に帰って掃除などの家事をして、子どもたちとおもちゃで遊んだり…。そのあとは夕飯の準備をして、長男をお迎えに行って、そのころに奥さんが帰ってきて…。掃除、洗濯、料理、買い物などの家事はしていましたね。
家にいることは非常に重要なことだと思うし、家にいたことはもちろん良い経験だったけれど、それがとても楽しい時間だったとは限りませんでしたね。子どもたちと意思疎通ができなくて、頭を抱えることも…。
L. K.:たしかにそうですね。子どもが小さいときは、おもちゃで遊んだり、会話にならないおしゃべりをするくらいしか出来ません。あとは、子どもの歌を歌ったりね、僕の大好きなヘビーメタルの曲の代わりに(笑)。もちろん楽しい時間なのだけれど、大変ですね。
インタビューの様子

子どもたちにとって面倒を見てくれる人が複数人いるのは、いろんな変化に対応するためにはいいこと

−先ほどプリスクールに行かれたと仰っていましたね。お母さんだけでなく、お父さんたちもいましたか?
L. K.:お母さんもお父さんも一緒に来ていました。子どもが他の子どもたちと遊ぶ良い機会だっただけじゃなくて、親にとっても他の親と話せるからとても良かったです。そこでの会話は政治的なものではなく、子どもたちに関する質問ばかりでした。いつもどうやって寝かしつけたり食べさせたりするのか、いつオムツを交換したりするのかとか、とにかくいろいろと話しました。妻も家に帰ってくるとまず、子供がよく寝たか、よく食べたかと質問をしてきました。
妻との絆も深まったと思います。子どもと過ごす機会ができて、幼稚園とか小学校のこととか、すごく話しやすくなりましたね。
−お互いに理解しあっているということですね。
R. K.:母親と同じように、父親も子どもが成長していく上で影響を与えるかという話が出てくるのですが、個々で違うので一概には言えない話です。成長する過程で、母親であれ父親であれ、子どもは親のことを徐々に知っていくのです。
ですが、子どもたちにとって面倒を見てくれる人が複数人いるのは、いろんな変化に対応するためにはいいことだと思います。例えば、母親か父親のどちらかだけがずっと面倒を見ていたら、変化への対応はとても難しい気がします。
インタビューの様子

育休取得者の増加は文化的なものではなくて、私たちが制度のありがたみをわかるようになったから

−お二人が赤ちゃんだった頃は、多くのお父さんたちは育休を取っていませんでしたよね。現在ではほとんどのお父さんが育休を取っていますが、何が要因だったと思いますか?
L. K.:私がすごく幼い時に育休制度はできました。父は工場で働いていたのですが、私が生まれたとき、育休を取りました。全く新しい決まりで、父親が家にいてもいいというものでしたから、当時としては非常に珍しいことでした。
この文化的な変化の要因はたくさんあると思います。ひとつは、社会が父親の育休を認めたということです。政治改革のおかげで、お金をもらいながら父親が家に居られるようになったのです。
ただ、家にいるかどうかは個人の意思でもあります。子どもと過ごせるのに、私の友人にはあえて育休を取らない人もいます。
R. K.: 1970年代は取りたかったら取ってもいいよという感じだったので、育休を取った父親はあまり多くはありませんでした。私の父も育休を取らなかった一人です。育休取得者の増加については、文化的なものではなくて、私たちが政府によるこの制度のありがたみがわかるようになったからではないかと思います。
−スウェーデンの現在の育休制度は十分だと考えていますか?改善してほしい点はありますか?
L. K.:制度の改革があったことでより多くの男性が育休を取得するようになりました。私自身、お父さんたちはもっと長い期間、家にいることを選んでもよいと思います。
私のフィアンセは「おっぱいをあげること以外で私にできてあなたにできないことはない」とよく言っています。その通りだと思います。男性が育休を取得することは、それぞれの夫婦にとってもよいことだし、社会にとってもよいことです。
一方で、私は政府が育休の取得期間について厳格に決めてしまうこと(たとえば母と父がそれぞれきっちり同じ期間の育休を設定する、など)には賛成していません。それぞれの家族はみんな同じなわけではありませんから。二人の収入に大きな差があって育休を取ると家計が苦しくなる場合なども考えられます。ですからこれは、十分に育休を取得できる制度と個人の育休を取得する選択のバランスの問題です。その点に関して、現行のシステムはかなりよく機能していると思います。
R. K.:私も同意です。
インタビューの様子
インタビューを終えて

稲垣さん子どものことを話す際の先生方は、「いいパパ」という感じで、日本のお父さんたちと変わりありません。子育てについて、両親のチームワークについて語っていたことが印象的でした。

橋本さん今回のインタビューで、改めて日本とスウェーデンとの育児に対する姿勢がだいぶ異なると感じました。女性の負担を減らすだけではなく、子供との絆を深めるためにも、日本ではもっと男性が育児に介入してもいいのではないかと思いました。

水澤さんお話を聞く中で、育児をすることは大切なことだけれど楽しいことばかりではない、という先生たちの本音を聞けてよかったです。

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